『プラネテス』

poriporiguchi2005-05-04

昼前までぐっすり寝て、昼食後もぐっすり寝る。寝てばっかり。
布団の中で本読んだりして、幸せな時間をすごしました。


さて、話は変わって・・・


大学に入ってからあまりマンガを読まなくなったのだけれど、最近(と言っても半年くらい前)に
兄から薦められて読んだ『プラネテス』は久々におもしろかったです。去年までモーニングに連載されてました。
内容は宇宙に関するもの。デブリ宇宙ゴミ)回収業者で働きながら、木星へ行く夢を追求する主人公ハチマキや
周囲の人々のお話。


宇宙と人間のかかわり、様々な人間模様を通して、ヒューマニズムについて、人間について表現しようとしているのだと思います。


そして、物語の根底にあるのは『愛』です。と言っても男女間のイザコザというわけではなく、
根本的な意味における『愛』です。
『死ぬとか、生きるとか、それらの意味とか、戦争とか、平和とか、かわいいあの子のこととか・・・(中略)』
人間の根底にある問題を扱っていて、哲学的なものすら感じさせられたり。


最終巻のある章では独立した感じで『恋愛』をテーマにしています。
そこに引用されている宮沢賢治の詩。

この不可思議な大きな心象宙宇のなかで もしも正しいねがひに燃えて
じぶんとひとと 万象といっしょに 至上福祉にいたらうとする 
それを宗教情操とするならば


そのねがひから砕けまたは疲れ
じぶんとそれから たったもひとつのたましひと
完全そして永久にどこまでも一緒に行かうとする
この変態を恋愛といふ                  宮沢賢治春と修羅小岩井農場」』より 一部引用


この詩の中に言われている『恋愛観』は、一般的なものとはだいぶ違います。
宮沢賢治日蓮宗法華経)を信仰していたこともあり、仏教的な価値観を持っています。
宮沢賢治の原作を読むと、作者は詩の切りとり方で本来的な文脈とは少し違う意味を与えているようにも思うけど、
一つの興味深い考え方なのではないかな、と思います。


『すべての人間が幸せになってほしい。すべての人間を幸せにしたい。』
という大きすぎる願いに砕け、疲れ、その感情がかたちを変えて(変態して)
『たった一人の人間とでも、完全にずっと一緒に幸せになろう』という感情(恋愛)になるということ。


「この考えはまったくわからない」という人もいるかもですが、ボクにはなんとなくわかるような気がします。なんとなくだけど。
大きな意味での『愛』が『恋愛』と関係あるとしたら(あると思うけど)、そういうふうな関係なんじゃないかな、と
思ったりするわけです。


『ひとりの人間を愛せない人間が、どうやってみんなを愛せるのだろう?』ということはよく言われますが、
宮沢賢治(というか作者・幸村誠)によるとこういうふうにもなります。


『みんなを愛せない人間が、どうやってひとりの人間を愛せるのだろう?』とね。
まったく論理的ではないかもだけど、ボクもどこかしらでそう感じたりもします。


まあ、こんなこと書いてもあまりよくわからないと思うので、いろんな『答えの出ない問題』に悩んでいたり、
或いは悩みたい人は『プラネテス』読んでみるといいんじゃないかと思います。