7月の夜明けに

poriporiguchi2007-07-28

ガープの世界』の最後に、小説を書き始めることについて、ガープは言います。


『だれもかれもを永遠に生かしておこうと努めることさ。最後には死んでしまう者すら、ね。そういう人間こそ、生かしておいてやりたい一番重要な人間なんだ』。


優れた小説というのは人間の死について書かれたものだ、ということは多くの人の中で言われていることです。
それが正しいか正しくないかということにどこまで意味があるのかわからないので、優れているかどうかということについては置いておくけど、一方でやはり人はみんな常に少しずつ死に向かっているということは事実です。


よく晴れた日、ボクは公園を走ります。コースのある場所に来ると、そこは暖かい光に溢れていて、そこを各々のペースで歩く人たちは光に包まれています。子供を連れた若い夫婦、笑顔で走る赤ん坊、ゆっくりと、二人でしっかりと歩く老夫婦、みんなとても幸せそうです。
なぜかとても静かです。静かと言うよりもまるで音というものがなくなってしまったかのようです。みんな一緒の方向に進んでいて、ボクにはその後ろ姿しか見えません。


そんなとき『みんな少しずつ死に向かって歩いてるのだな』と、ボクは思います。
生きていくということは、公園の外周をゆっくりと進んでいくようなものなのじゃないかな、と思います。
外周をゆっくりまわるように、何もないように歩いていくけど、一人一人に決められた、どこかにある死というポイントに向かって少しずつ進んでいくようなものなんだと。
逆に言えば、人が生きていく中には大変なこともたくさんあるけど、見方を変えれば、それは結局公園をゆっくりと歩いているのと同じなんじゃないかな、ということ。


分かりづらいですよね。ボクにもよくわからないんだから当然です。
今日の朝5時に『ガープの世界』を読み終えると、夜が白み始めていました。
そのまま寝ることができずにそんなことを考えていました。


イメージはしっかりあるんだけどね。言葉にすべくがんばってみたいと思います。
キャプテン・エネルギー!
ガープの世界』はおもしろいよ。