少しでも前に

poriporiguchi2009-05-10

こんばんは。みなさまGWは楽しく過ごせましたか?
ぼくはと言えば長かった9連休も今日で終わり・・・でも思う存分好きな時間を過ごし、おいしいご飯を食べ、おいしいお酒を飲み続けたせいか、今はそろそろキチンと働いてまたお金を稼がないとなぁという気持ちでいます。


GW辺りには、久しぶりにいろいろな友達と会ったりして、楽しい時間を過ごしたりしました。みんなそれぞれ環境は違えども、自分のいる状況のなかで真剣に暮らし、そういう話をする顔つきも学生時代とは違ったりして、なんか歳をとるのも悪いものじゃないな、と思ったり。まぁそう思わないとやっていけないという面もあるにせよ(笑)


さて、昨日は連休最後の一人の時間として渋谷で『THIS IS ENGLAND』という映画を観てきました。大まかに言えばの少年の成長物語。ただ、それのみならず、サッチャー政権、フォークランド紛争、UKロックといった80年代のイギリスの世相をいわゆるアウトローの視点から切り取った作品でもあります。

父親をフォークランド紛争で失い、学校でいじめられていた主人公の少年が、アウトローの若者とのふれあいの中で人と係わることの喜びを知る一方で、無垢故に自分に親身にふるまう国家主義的な思想を持った男についていく姿には、危うさとともに純粋な喜びも見ることができます。しかし、そんな気の知れた集団においても、やがて社会の縮図を見るような対立や憎しみが大きくなっていき、最後は思想やスタイルなどではない、人の心の奥に潜む思いをめぐって暴力が引き起こされることとなります。


そして、そういった事件を経験した少年は静かに一人で進んでいくことを選びます。そこにいた人々のことを好きだったからこそ、誰を責めるわけでもなく、批判するわけでもなく、それでも前に、少しずつ前へと進んでいくことを静かに心に決めるのです。


80年代のイギリスの状況は現在の正解を覆う閉塞感に通じるところがあるかもしれない。でも、そこにいるのは一人一人の人間でしかない。もちろん国家や社会というシステムの瑕疵はあろうとも、一人の人間としては、身近にいる人の心を理解し、それを赦し、時によっては彼ら彼女らから離れていきながら、自分自身で前へと進んでいくことしかできない。スクリーンに映る少年の最後の眼差しは静かな思いを表現しているように感じました。


東京では渋谷でしかやっていないけど、そんなに混んでいないし(ぼくが観た昼の回はぼくも含めて4人だった・・・)好みは分かれるかも知れないけれど、個人的にはいいと思える映画だった(時代考証とか雰囲気とかを問題の根深さなど、厳密に言うとチグハグで甘い点があることは確かでしょうが、一人の少年の成長物語として)ので、興味があったら見に行ってくださいね。まぁ宣伝過剰な日本の下らない映画を観るよりは全然よい時間を過ごせると思います(あくまで個人的な偏見)。そう言えば、スラムドックもミルクも観ないとなぁ・・・


さて、気がつけばもう日曜日の12時前、『カラマーゾフの兄弟』(亀山訳)を読み進め、明日に備えて早めに眠りにつくことにします。いやぁほんとにすごい小説だよなぁ。かれこれ4回目になるけれど、イワンの『大審問官』なんか、読んでいてこれまで以上に凄味を感じてしまった。そんな小さい幸せを糧に明日からも仕事をがんばろうと思います。みんなも仕事がんばろう!!